だいぶ前に安田正昭の弾くライヴのCDを聴いて、コンサートで聴けるチャンスを待っていたが
2011年12月5日に其の希望がかなえられた。今回が11回目と言うメシアンの嬰児イエスに注ぐ 20の眼差しは、最初の響きからすでにメシアンの世界を自由に歩いて、独自の響きが広がる。はじめの10曲の後休憩を取るまで、危なげのまったくない暗譜の演奏だ。其の日の朝、手の具合が良くなくてと誰かが言っていた。本人はそのために急遽いつもは使わない指使に変えたりで大変だったかもしれないが、彼をよく知っている人以外はほとんど分からない。とにかく精霊、その他のモティーヴを確実に弾き分け、一曲ずつメシアンの表現したかった20の眼差しの世界を次々と展開し、まるで天空の星をプラネタリウムで眺めているようだった。しばし時の流れが止まったような感覚に自分を忘れた、、
帰りのバスを待っていると、コンサートの帰りで、同じ方向に乗っていく年配の女性と一緒になった。
4年ほど前に聴いたときより響きが芳醇になってと感想を言われ、私も本当にとうなずいた。
この半年に何が起こったのかと思わせるような、充実した大きな音楽を聴けた満足感を味わったのである。